妖しい美しさもすごいし、ドラマの余韻もすごい『麗~花萌ゆる8人の皇子たち〜』
素敵な韓ドラ紹介でおなじみの韓流ナビゲーターの田代親世さんが、今回はいつもに増して「きゃー!」「ワー、もう♡」とか感情を露わにして熱く語ってくれました。それもそのはず! 妖しい美しさで有名なイ・ジュンギをはじめとする8人のイケメンを堪能できる『麗~花萌ゆる8人の皇子たち〜』(2016)はキュンするだけではない大きな魅力を持ったドラマなのですから。
タイムスリップした先の高麗時代には美しい8人の皇子が
現代に暮らす26才の化粧品販売員の女性が、ひょんなことから高麗時代にタイムスリップして、16才の少女ヘ・ス(IU)の体で目覚めてしまうところから物語は始まります。タイムスリップした先には、王位争いを繰り広げている8人の皇子がいました。ヒロインが麗しい8人の皇子たちと関わっていくファンタジーロマンス時代劇です。
ヒロインは、最初はヘ・スの姉の夫である第8皇子ワン・ウク(カン・ハヌル)のところに住むことになり、二人は惹かれ合っていきます。しかし、そこに、のちに厳しい粛清を繰り返して“血の君主”と呼ばれることになる第4皇子ワン・ソ(イ・ジュンギ)が、現われます。彼は後に歴史上に名を残す有名な光宗(クァンジョン)となる人物です。
現代からやってきたヒロインは、歴史を知っているので、「彼があの光宗になるのね」と恐怖を覚えるのですが、次第に恐れを抱きながらも愛してしまう。
現代の日本に生きる女性が、安土桃山時代にタイムスリップして、「彼があの織田信長になるのね」と思いながらも、愛してしまうようなものです。
「キャー、私も突き放されたい!」
ワン・ソ役のイ・ジュンギさんの、孤高な感じが半端なくかっこいいんです。顔に傷があるから疎まれて親の愛も受けられず、オオカミ皇子といわれるほどクールで、だれも寄せ付けない。だけど、物語が進むにつれて「実は深く傷ついているのね」と思ってしまい、「ああ、もうなんて切ないの!」って母性をくすぐられるわけです。
あのシュッとした顔に、鋭いまなざし。しかも女心をさらわざるを得ないキャラクターで登場するんですから、観た人みんなが惹きつけられちゃう。
そんなオオカミ皇子がヒロインと出会い、一途な愛を貫いていくわけですよ! ツンデレじゃなくてツンツンなんだけど、その突き放しっぷりがたまりません。「キャー、私も突き放されたい!」っていう感じです。
ヒロインに向かって「二度と俺の前に現れるな」とか言っていたくせに、ちょっとすると「お前は俺のものだ」と言ったりして。「もーどっちなのよ!」って(笑)。悲壮感、孤独感がすごくよくて、めっちゃかっこいい。
時代劇の扮装が、また似合うわけですよ。私は、あの時代劇の長髪の扮装をされると魅力が3割増しになると思っているんですが、そこにまた仮面をかぶっているので、さらに仮面萌えまでしてしまうのです。
韓流あるある。タイプの違う男の三角関係に注目!
三角関係の火花を散らすのが、カン・ハヌルさん演じる第8皇子で、韓国ドラマにありがちの、タイプの違う男。ツンツンしてるのがイ・ジュンギさんなら、カン・ハヌルさんは優しいジェントルマン。
その知的な魅力で、やさしく愛を交わしていくんだけど、穏やかな顔の裏には権力を欲する野望の研いだ爪を隠している。その二面性が魅力でもあります。一方、イ・ジュンギさん演じるオオカミ皇子のほうは、権力よりも愛を選ぶんです。
『スタートアップ』のナム・ジュヒョクからEXOベッキョンまで! イケメンの入浴シーンも♡
「花萌ゆる8人の皇子」と言っているだけに、美しい皇子があと6人も登場するわけです。ドラマ『スタートアップ:夢の扉』で、今をときめくナム・ジュヒョクさんが芸術を愛する第13皇子役で出てくるし、EXOベッキョンさんがお茶目でかわいい第10皇子役として登場。『力の強い女ト・ボンスン』のジスさんが武骨なんだけどあたたかい第14皇子で出てくるという具合です。
8人の皇子が初めに出てくるシーンが湯あみですよ。「ちょっと! 目のやり場に困るんですけど! 何なのこのドラマ!」と言いながら喜んでしまうという…。
権力争いの人間ドラマに、深い余韻が残る
皇子たちの麗しさとか、ヒロインとの愛にキュンキュンさせられるけれど、それだけではないのが、このドラマの良いところです。
兄弟の間でくりひろげられる血みどろの権力争いの人間ドラマが胸に迫って、深い余韻を残します。現代から来たヒロインは、争いの激しさに神経をすりへらしていく。
その中で、男と女のすれ違いがあり、ヒロインが歴史を知っていただけに起こる悲劇もあって、観終わった後にもののあわれを感じます。深い余韻を残すんです。大ヒットした中国ドラマのリメイクで、中国版もまた素晴らしく、比較するとさらに楽しめます
「妖しい色気」でブレイクした『王の男』
イ・ジュンギというと「妖しい魅力」が代名詞です。映画『王の男』(2005)で王様に愛される旅芸人を演じたのが有名です。女性よりはるかにまさる色香を放っていると言われて、大ブレイクしました。
妖しい色気が特徴なんだけど、男気のある役が多い。そして「時代劇王」という感じで、彼が出る時代劇は必ずと言ってほど、大ヒットします。『イルジメ(一枝梅)』がその代表ですね。痛めつけられたり、苦難を経る役がよく似合うんです。
ブレイク前から、妖艶な色気で骨抜きに♡
まだ『王の男』の撮影前に、韓国の方に「紹介したい若手の俳優がいる」と言われて、喫茶店でお会いしたことがあります。その頃からすごい色気がありました。
「ごめんなさい、私はあなたの作品まだ観てなくて」と言ったら「わかりました、でも約束ですよ。日本に帰ったら見てくださいね」ってそっというわけですよ。その言い方が、なんとも妖しくて、すごいーと驚かされたのを覚えています。言い方も目つきも、特別のものを持っていましたね。
イ・ジュンギさんには、その後も私の番組に出てもらったりして何度か会っています。クレバーな人だから、何を聞いても、その場が湧くように答えてくれます。サッとあらわれて、鮮やかに皆を喜ばせて、さっと去っていく、ザッツエンターティナーっていう感じですね。
単なるビジュアルだけの俳優ではありません。自分の作品に関わるスタッフさん全員の名前を憶えて、名前を呼ぶというのは、苦労した時期を経て人気を獲得したせいでしょう。主役としての心構えがしっかりあって、男気がある人です。だから、『麗』の皇子など、時代ものの強い人物を演じられるんだと思います
(c)2016 Universal Studios, Barami bunda. Inc., and YG Entertainment Inc.
『麗~花萌ゆる8人の皇子たち〜』U-NEXTにて配信中
取材・文/新田由紀子
田代親世/たしろ ちかよ
韓流ナビゲーター。テレビ・雑誌などで、韓流ドラマを紹介している。会員制韓流コミュニティ「韓流ライフナビ」を主宰。