映画やドラマで見かける“バー”、大人の空間って感じで素敵ですよね。でも、未経験者にとってはちょっぴり敷居が高いイメージも。でも、ひとりで行っても臆することなく堂々と! バーで格好よくお酒を飲んでみたい!
そこで、パレスホテル東京のメイン バーである「ロイヤル バー」初の女性バーテンダー・中村サビーヌさんに、今さら聞けないバーのお作法を伺ってきました!
女性バーテンダー・中村サビーヌさんがバーテンダーをめざしたきっかけは「バーへのあこがれ」
フランス出身の中村サビーヌさんは、パリのホテル学校に通い、五つ星ホテル・マンダリン オリエンタル パリで働いた経験もあるそう。凛とした佇まいの素敵なしごとなでしこです。そんな中村さんがバーテンダーとして働き始めたきっかけも、バーという空間へのあこがれだったといいます。
「パリのホテル学校で、海外のホテルで半年間研修をするという課程があって、パレスホテル東京のグランド キッチンでサービススタッフとして勤務していたんです。そのときにロイヤル バーにカクテルを受け取りに来る機会もあり、この空間にフォーリン・ラヴしてしまって」
頼み込んでロイヤル バーで2か月間研修生として働いたあと、ホテル学校を卒業後ふたたび舞い戻り、約2年。今では「バカルディ レガシー カクテル コンペティション 2017 日本大会ファイナル」(2月に開催)にファイナリストとして出場を果たすなど大活躍。中村さんお目当てで訪れる女性ファンも少なくないという人気バーテンダーへと成長しました。
▲中村さんが日本大会ファイナルで披露したオリジナルカクテル「テンタドーラ」。スペイン語で「魅惑的な女性」という意味
女性バーテンダー・中村サビーヌさんのおすすめは「バーテンダーと会話しやすいカウンター席」
そんな中村さんに、初めてバーを訪ねたときの振る舞い方をお聞きしました。まず気になるのは“服装”ですが…。
「たしかに最初は緊張してしまいますよね。でも、どういう格好でもウェルカムですよ。自分らしい、好きな格好でリラックスしていただきたいと考えています。多くの場合、ホールにご案内役のバーテンダーが立っていて、お席のご希望を伺ってご案内します。お客様がバーをのぞいた瞬間から、バーテンダーのおもてなしは始まっているんです。お一人で来店されるなら、バーテンダーと会話しやすいカウンターのお席がおすすめですよ」
席が決まったらいよいよお酒をいただきます。せっかくの機会、新しいカクテルに挑戦してみたいんですが…。
「そんなときは普段飲んでいるカクテルや、今どういう気分かをお話ししてみてください。たとえば喉が渇いていれば飲みやすくてリフレッシュできるロングカクテルを、ゆっくり時間を過ごしたい方には、もう少しアルコール度数が強くてゆっくり楽しめるショートカクテルをお薦めしたりします」
味だけでなく、“バーでこんな風に過ごしたい”というリクエストもアリなんですね!
「これからの季節はモヒートでさっぱりしていただくのもいいですね。ロイヤル バーではマンゴモヒートもお作りしています。カクテル1杯でも、オレンジジュースやコーヒーでも大丈夫です。遠慮せず、せひ扉を開けてみてください」
コーヒー1杯でも!? バーって想像よりもずっと間口の広いもののようです。
▲中村さんが働くパレスホテル東京のメイン バー「ロイヤル バー」
他人同士で会話が生まれるのもバーならでは!と、女性バーテンダー・中村サビーヌさん
バーの醍醐味はやっぱりバーテンダーとのトーク。でも、バーテンダーさんはカウンターの向こうで忙しそう…。話しやすいタイミングってあるんでしょうか?
「そんなに緊張しないでください(笑)。私は、お客様にはそこまで考えず、もっと気楽に過ごしていただきたいと思ってます。私たちはお客様とお話するのが好きで慣れているので、どんな状況でもうまく応対したいと思っていますし、話題もどんなことでもかまいません。お酒の話題から会話が広がっていくことも多いですが、私の場合はフランス出身なので、フランスの話題や旅行の話題が盛り上がりますね」
ところで、映画やドラマで見かける、初対面の男性が女性に「あちらの女性に…」とお酒をプレゼントするシーン。こんなことって実際ありますか?
「たまにあります、女性は驚かれてますね(笑)。私もこの2年間で2~3回、目にしました。でも、ヨーロッパやアメリカではわりとあることですよ。それに、カウンター席はお一人のお客様も多いので隣に座ったお客様と何かのきっかけで会話が始まることは多いですね。一人の方がバーテンダーとお話していて、隣のお客様がその会話に加わって…というのが一番よくあるシナリオです」
女性バーテンダー・中村サビーヌさんからのアドバイス「訪ねていただければ、あとはバーテンダーがすべてリードします」
楽しい時間を過ごしたら、最後にお会計。この時、マナーはあるんでしょうか。
「カウンターのお席なら、カウンターの中のバーテンダーに『ごちそうさま』など直接声をかけていただければ大丈夫です。たしかに私も最初は緊張しました。どんなルールがあるのか、とか…。でも“ルール”なんてないんです。ただ、リラックスして楽しんでいただければ。私たちバーテンダーは、そのためにいるんです」
最後に中村さんから、バーにあこがれているけれど二の足を踏むしごとなでしこにこんなメッセージをもらいました。
「バーで過ごす時間は、お仕事や人生のストレスを忘れて、ただバーの世界に浸ってホッとした気分になっていただきたいと思っています。美味しいお酒を飲んで、バーテンダーと話をして。またここに戻ってきたらホッとできる、そんな風に思っていただけたら嬉しいですね。
最初はどうしても緊張すると思うんですが、訪ねていただければあとはバーテンダーがリードしますので、安心して全部お任せください」
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お話をしながら、ロイヤル バーのシグニチャーカクテル「スペシャル ジン フィズ」(1,650円)をさらりと作ってくれた中村さん。ジンフィズに冷たいミルクを加え、驚くほどさっぱりと飲みやすいカクテルです。シェイカーを振るスマートな身のこなしにも、見ているだけでうっとりしてしまいます。
このほか、ロイヤル バーの代名詞的存在「ドライ マティーニ」(1,600円)、春ならではのフレッシュフルーツカクテル「甘夏のマティーニ」「林檎のギムレット」(ともに2,300円/消費税込・サービス料別)もおすすめ。いつもより気持ちにゆとりが生まれるGWに、バー初体験してみませんか?
▲ロイヤル バーの「ドライ マティーニ」
パレスホテル東京
メイン バー「ロイヤル バー」
営業時間:11:30a.m.~midnight ※土日祝日は5:00 p.m.~
文/広木こころ
初出:しごとなでしこ