仕事に育児に日々忙しく過ごす大渕愛子さん。
離婚やDVなどの男女問題の相談にのる弁護士として、また自分の意思で働いてきた自立した女性としての経験値に加え、30代後半での出産を経てワーキングマザーとして日々奮闘する大渕さんから語られる話は、私たちも共感できるものばかり。
働く女性にぜひ読んでいただきたいインタビューの後編です。
- 1 まだまだ半人前の27才。大渕さんのような素敵な女性になるために20代のうちにやっておくべきことはありますか?
- 2 ◯才だから◯◯をしておかなくては、というような概念に縛られなくていいということ。
- 3 30代に突入しましたが、職場でもプライベートでも異性との出会いがなく焦っています。女性は結婚したほうが幸せだと思いますか? 結婚はすべきでしょうか?
- 4 大事なのは一緒にいたいと思える人と一緒にいられること。
- 5 出会いというのは年齢に関係なく人それぞれタイミングがあるんだろうと思うんです。
- 6 だから出会うときは出会うんだと思って、毎日を一生懸命生きていくといいかなと思います」
- 7 結婚し、出産も望んでいますが、出産後、キャリアも重ねていけるのか不安です。キャリアも子供も家庭もすべてを手にいれようとするのはわがままですか?
- 8 前もってあまり心配し過ぎないほうがいいのかもしれません。産んでみて、働いてみて、そこから自然とバランスがとれるよう自分なりに新しい方法を編み出していくことになるんだと思います。
- 9 フリーランスで仕事をしています。営業努力はしていますが収入の不安定さから心が折れそうになることがあります。どのようにモチベーションを保てばよいでしょうか?
- 10 仕事が入ったかどうかなどの結果で一喜一憂するのではなく、プロセスも楽しめるようになる必要があると思います。
- 11 職場で上司からのパワハラに悩んでいます。弁護士さんに相談をしてみたいのですが、どうやって相談する相手を見つければよいのかわかりません。
- 12 34才、やりたい仕事が充実している既婚者です。親や主人から子供を! とうるさく言われ、正直辛いです。
- 13 ご主人とは、このことに関しては同じ方向を向いていないと、いずれ結婚生活が破綻してしまうかもしれません。
- 14 家庭も仕事も両立しているお忙しい大渕さん、自分の時間はどのように捻出していますか?
- 15 男性は、パートナーの女性が本当に困って素直にヘルプを求めてきたら断らないと思います。
- 16 大渕さんは死への恐怖はありますか? もしある場合、どのように克服または納得されていますか?
- 17 自分が生まれてきたこと自体、私の意思ではありません。だから、生というのはコントロールのできないものと捉えています。
- 18 座右の銘または目指す人はいますか?
- 19 『失う覚悟さえあれば、悩みは解決するなっしー』
- 20 『怖かったら怖いほど、逆にそこに飛び込むんだ』
まだまだ半人前の27才。大渕さんのような素敵な女性になるために20代のうちにやっておくべきことはありますか?
「20代後半というのは色々迷う時期ですよね。私は27才のときに1回目の結婚をしました。今思えばそれは『そろそろ結婚した方がいいのではないか』という世間や周囲に流された考えだったんだと思います。そんな風にした結婚は半年で別居、籍を入れて1年で離婚という結末に。相手がということではなく、私の結婚に対する覚悟が足りてなかったんです。だからこそ、私より年齢が若い方に言いたいのは、
◯才だから◯◯をしておかなくては、というような概念に縛られなくていいということ。
自分の好きなこと、自分のやりたいと思うことに素直に集中して日々を過ごしてほしいです」
30代に突入しましたが、職場でもプライベートでも異性との出会いがなく焦っています。女性は結婚したほうが幸せだと思いますか? 結婚はすべきでしょうか?
「結婚はしてもいいし、しなくてもいいと思うんです。
大事なのは一緒にいたいと思える人と一緒にいられること。
結婚という形式にこだわる必要もないですよね。出産に関しても、巡り合わせだと思っていて、子供をもたない人生という選択もあります。
20代後半で離婚をして、今の主人と出会う37才まで私は、結婚も出産も全く理想を抱かずに仕事をしてきましたし、焦りもなかった。でも主人に会って考えも変わり半年で結婚しました。
出会いというのは年齢に関係なく人それぞれタイミングがあるんだろうと思うんです。
私の姉も、私より少し後のタイミングで結婚、出産をしたんですよ。人によっては50代、60代に出会うこともあると思うんです。
だから出会うときは出会うんだと思って、毎日を一生懸命生きていくといいかなと思います」
結婚し、出産も望んでいますが、出産後、キャリアも重ねていけるのか不安です。キャリアも子供も家庭もすべてを手にいれようとするのはわがままですか?
「出産前は私自身も仕事は今まで通りできると思っていたんです。でもいざ実際育児が始まると、体力的なことや時間的なことに加え、心境にも変化があり、出産前と同じだけの仕事はできていません。でもそこから生じる葛藤も自然と自分の中で折り合いがつけられるようになってきました。ですので
前もってあまり心配し過ぎないほうがいいのかもしれません。産んでみて、働いてみて、そこから自然とバランスがとれるよう自分なりに新しい方法を編み出していくことになるんだと思います。
私は試行錯誤しながら、新しい働き方を楽しんでいきたいです」
フリーランスで仕事をしています。営業努力はしていますが収入の不安定さから心が折れそうになることがあります。どのようにモチベーションを保てばよいでしょうか?
「仕事がたくさんあれば多忙を極めるし、なければないで不安にさいなまれる…..自営業者は心が休まる時間がありませんよね。私も個人事務所を経営する自営業者ですから、相談者さんの心情も理解できます。ただ言えるのはどんな状況でも工夫が必要です。
仕事が入ったかどうかなどの結果で一喜一憂するのではなく、プロセスも楽しめるようになる必要があると思います。
次にやってくる仕事で満足のいく成果があげられるよう、時間のあるときは準備期間と考えましょう。時間も有効に使えるし、それを楽しむくらいの余裕をもっていると楽になれますよ。私自身、いつ仕事がなくなるかわからない、仕事には波があるものと思いながら生きています。その上で時間ができたら専門分野を掘り下げる時間にあてようなど、時間ができたときにやるべきことを常にリストアップし、更新しています」
職場で上司からのパワハラに悩んでいます。弁護士さんに相談をしてみたいのですが、どうやって相談する相手を見つければよいのかわかりません。
「まずは住所などで弁護士を検索(例えば、東京◯◯区 弁護士など)すると、写真や名前、注力している分野、値段などが記載された法律事務所のHPがずらりと出てきます。その中から、何人かに実際会って相談をしてみるのをお勧めします。初回相談は無料なところもありますし、30分5000円くらいのところもあります。実際に会って話をしてみることで話がしやすかったり、アドバイスが的確だなと感じる弁護士に出会えると思います。まずは信頼できることが大事。自分に合う弁護士を見つけてくださいね」
34才、やりたい仕事が充実している既婚者です。親や主人から子供を! とうるさく言われ、正直辛いです。
「ライフスタイルは様々ですよ。人から押し付けられるものではないはず。ただ、親の言うことは聞き流せてもご主人の言うことはそうはいかないですね。
ご主人とは、このことに関しては同じ方向を向いていないと、いずれ結婚生活が破綻してしまうかもしれません。
ですからご主人とは話し合ったほうがいいですね。妊活も人に言われてすることでもない。ご主人と話した上で、自分で納得できたらすればいいのものです。何事も見て見ぬふりもよくありませんから、勇気をもってまずは話し合いを」
家庭も仕事も両立しているお忙しい大渕さん、自分の時間はどのように捻出していますか?
「主人に素直に言います。
男性は、パートナーの女性が本当に困って素直にヘルプを求めてきたら断らないと思います。
責めたてたり怒りをもって何かを言うと反発を買ってしまいがちですが、素直に疲れていること、時間が欲しいことをシンプルに伝え助けを請うことで、協力してくれると思いますよ。何事も伝え方、言葉の選び方は大切ですよね」
大渕さんは死への恐怖はありますか? もしある場合、どのように克服または納得されていますか?
「出産後、やはり死への恐怖が生まれました。この子を置いて死んだらどうしようと。しかしながら、自分は生かされているという思いもあります。
自分が生まれてきたこと自体、私の意思ではありません。だから、生というのはコントロールのできないものと捉えています。
今後、自分がどんな人生の終わり方をしたとしても、それが与えられた人生の最期だったのだと考えれば納得できるし、死への恐怖を乗り越えられると思っています。」
座右の銘または目指す人はいますか?
座右の銘はふなっしーの言葉なのですが、
『失う覚悟さえあれば、悩みは解決するなっしー』
です。ふなっしーに出会う前は、岡本太郎さんの言葉で
『怖かったら怖いほど、逆にそこに飛び込むんだ』
を座右の銘にしていました。目指す人はもちろん、ふなっしーです。行動力や思想も含め、ふなっしーの存在は、私を奮い立たせてくれるもの。永遠の心の師匠です」
初出:しごとなでしこ
大渕愛子さん
1977年、東京都生まれ。
アムール法律事務所の代表弁護士。
「ウーマンズサロン」というカウンセリングルームを設け、離婚、DVなど女性からが相談をしやすい環境を整えている。
2011年11月より日本テレビ「行列のできる法律相談所」のレギュラー弁護士として出演するほか、幅広いメディアでも活躍。
プライベートでは2014年に俳優の金山一彦氏と結婚、一児の母の顔ももつ。