作品への向き合い方や新たな『阿弖流為 -ATERUI-』の魅力のほか、同期ならではのエピソードも!
スカパー!などで視聴できる「時代劇専門チャンネル(CS292)」。数々の時代劇の名作が24時間365日見られるのが特徴で、7月より月曜日22時に「華麗なる宝塚歌劇の世界〜Season8〜」を放送中。宝塚歌劇の中で、日本物作品を厳選してお届けしています。
あわせて読みたい
▶︎心を揺さぶる名作『阿弖流為 -ATERUI-』を有沙瞳さん&綾凰華さんと共に振り返る!【時代劇専門チャンネル「華麗なる宝塚歌劇の世界」】番組収録レポ
『阿弖流為 -ATERUI-』(’17年星組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)を取り上げた今回、企画初となるダブルゲストとして登場したのが、有沙瞳(ありさ・ひとみ)さんと綾凰華(あや・おうか)さん。
収録後にはおふたりの取材会が行われ、その内容を一問一答形式でお届けします。

演出の大野先生の愛を感じる思い出深い作品。今でも熱い気持ちが込み上げてくる
——この作品にはどんな想いで挑まれましたか?
有沙さん:(雪組から)星組へ来てからすぐの小劇場公演だったので、「私でいいのかな」という気持ちが大きかったです。星組のみなさんとまだ深く打ち解ける前で、阿弖流為を演じられた礼真琴(れい・まこと/元星組トップスター)さんは私の中では雲の上の存在で、恐れ多さやプレッシャーが大きかったです。
やはり組が違うと雰囲気やお稽古の方法も違うので、研究科1年の頃に戻ったような気持ちで必死についていく毎日でした。いろいろなタイミングが重なって湧き上がる想いもあり、あのときに出演できてよかったと思っています。
綾さん:逆に私は(星組から雪組へ)組替えする前の作品です。星組にいた5年間、礼さんをはじめ、上級生、同期、下級生からいろいろな学びをいただいて、それをここでお返ししたいと思っていました。
まだまだ未熟で至らないところは多々ありましたが、「今できる自分の姿と感謝を、みなさんにお届けしたい」という星組男役としての集大成の気持ちでしたね。
組替えの発表があったのがお稽古期間中で、ファンの方のさまざまな思いの中、応援してくださったり。思い出深い作品です。
——有沙さんの佳奈、綾さんの母礼(もれ)。どのように役作りをしましたか?
有沙さん:蝦夷としての心や悲しい過去を胸に秘めながら、前を向いて歩いていく強さ。そして、繊細さや弱さも表現できるように。それを包んでくれる阿弖流為の素敵さが、引き立つ存在になりたいと思っていました。
綾さん:私が大事にしていたのは包容力です。阿弖流為からも頼られる軍師というポジションだったので、その説得力を見せなければいけないと、自分にプレッシャーをかけながら挑んでいました。

——日本物の作品ではありましたがダンスも印象的でした。
綾さん:蝦夷の土着的なダンス、田村麻呂が出兵するときの僧のダンス、フィナーレのバチダンスなど、見どころがたくさんあったと思います。
蝦夷側のダンスは、土と共に生きている人の強さやルーツが表れるようにしていました。僧を演じたきみちゃん(湊璃飛、みなと・りひ さん)のダンスは、修行している人の無駄のない踊りだったように思います。シンプルな動きを繰り返しているだけなのになぜか胸に響く、みたいな。ひとりひとりの役の背景が見えるような振り付けでした。
フィナーレのバチダンスは和と洋を融合させた面白さがあって、斬新でしたよね。フィナーレのデュエットダンスも素敵でしたよね?
有沙さん:はい。すごく幸せなダンスで。
佳奈にとっては悲劇的な最後だと思います。阿弖流為もいなくなっちゃう、お兄ちゃん(母礼)もいなくなっちゃう、残されたのは幼い子供でこれからどう生きていけばいいのだろうと。
しかも物語の中で阿弖流為との幸せな思い出は弓を教わる場面くらいしかなかったからこそ、デュエットダンスではふたりの柔らかく幸せな空気感をお届けできたらいいなと思っていました。純粋に、佳奈として幸せをめいっぱい感じられる時間でした。

——演出の大野拓史先生から言われたことなどはありましたか?
綾さん:番組でも話しましたが、下級生まで全員に役名をつけてくださる、愛にあふれた先生です。
覚えているのは、すごくたくさん話し合ってくださったことです。私だけではなく、礼さんや瀬央さん(ゆりあ さん/現雪組男役スター)とも話し合われていました。『みんながそう思うならもう一度考える』と、みんなの『阿弖流為 -ATERUI-』に対する想いを大きな心で全部受け止めてくださっていた記憶があります。
あとは作品内に映像が使われていたのが印象的でしたね。今は普通になっていますが当時は先駆け的存在で、すごかったです。

ターニングポイントになった作品。その後の舞台人としての生き方にも影響が
——ご自身のキャリアの中で、『阿弖流為 -ATERUI-』から得たものはどんなことでしたか?
綾さん:この作品に携われたこと自体が自分のキャリア的には大きな1歩だったと思います。当時、芝居にすごく悩んでいた時期だったのですが、このときにスッと肩の力が抜けて、“役を生きる”という感覚が持てた気がして、私にとって大きな経験をさせてもらいました。
有沙さん:その頃の私は『こうやろう、こう見せよう』という外側の方が大きくなってしまっていたのですが、みんなが役を生きていた中で私も魂で作品を作る楽しさを知ることができました。日本物だからこそですし、大野先生がこの作品に対して強い想いがあったからこそだと思うのですが、私の中にも流れている日本人として大事な感覚を学ばせていただきました。
——人としての誇りを守る戦いを描いた『阿弖流為 -ATERUI-』にかけて、おふたりが大事にしているものやことは何ですか?
綾さん:優等生的な答えになってしまうのですが、感謝することを絶対に忘れないようにしようと思っています。特に身近なものや大切なものに対して人間はなぜか感謝を忘れがちになってしまうので、それは本当に注意しないといけないなと。当たり前のことを当たり前と思わずに、大事にすること。小さいことにも感謝する心を忘れないことです。
そう思うようになったのは、舞台に立つ仕事はひとりではできないと痛感してからです。周りの人とのご縁があって今まで歩んできたので、「忘れちゃダメだぞ、気をつけろ!」と戒めています。

有沙さん:私も同じような感じですが、尊重の想いを持っていることです。在団中は私のことをわかってくれている人たちと舞台を作っていましたが、卒業後は「初めまして」の方々とお仕事をするようになります。みなさん、それまでの経験や過去が違うからこそ、その生き方を尊重してお互いに高めあうことが大事じゃないかなと思っています。
「宝塚歌劇の出身だから」というプライドや概念は置いておき、頭と心を柔らかくして周りの意見をきちんと聞く。その謙虚な姿勢がないとこれからの伸び代も無くなってしまうと思います。
同期との絆は特別なもの。現役で活躍している同期が誇らしい!
——お互いにリスペクトしているところはどこですか?
綾さん:私が雪組に組替えするときに、雪組から来た有沙さんには早めに伝えた気がします。有沙さんはすでに組替えを経験して、さらに大きな役を演じていたので、それを経験した人にしかない強さがありました。私も頑張らないと、と思わせてくれましたね。
有沙さん:あやな(綾さん)とは、作品を作り上げるときの思考や丁寧さ、作品に向き合う姿勢はわりと似ているところがあると思うのですが…、それよりなにより、最初から輝いていました! 同期の中でも眩しい存在で、目からキラキラした星が出ている感じです(笑)
同期ながら尊敬できる存在で、男役からカッコいい女性になったけれどそれは今も変わらないです。
綾さん:キラキラは自覚はないけど(笑)、うれしいです。
有沙さん:あやなが男役になる前も、男役だったときも、男役を卒業した今も知っていますが、あまり変わらないですね。

——星組には98期がまだ多く在籍しています。今の公演で天希ほまれ(あまき・ほまれ)さんが卒業されますが、思い出はありますか?
綾さん:りさこちゃん(天希さん)は、星組下級生時代を一緒に過ごした仲間で、とても濃い関係でした。まだ何者でもなかった時期を共に頑張って過ごした仲間だからこそ、深い絆があるなと思います。
そんなりさこちゃんの卒業に、心からの「おめでとう」を言いたいです。最初から最後まで、熱い星組を楽しんでほしいです。
有沙さん:荒削りの、おそらく私が尖っていた頃をいちばん知っているというか…。同期とは、一生出会えないだろうなという深い絆があります。退団してさらにそれを強く感じます。
綾さん:あと、あり(暁千星、あかつき・ちせい さん/現星組トップスター)ともえこ(瑠風輝、るかぜ・ひかる さん/現星組男役スター)がそれぞれ組替えしてきて星組で一緒になるって、すごいですよね。
有沙さん:音楽学校の寮が同室でもともと仲が良かったふたりが、星組を代表する存在になるって本当にすごいことだなって感動します。
綾さん:星組はさらに、さきちゃん(澪乃桜季、みおの・さき さん/娘役)としも(夕渚りょう、ゆうなぎ・りょう さん/男役)。花組にはみかちゃん(峰果とわ、みねか・とわ さん/男役)、宙組にはさよちゃん(小春乃さよ、こはるの・さよ さん/娘役)がいて、みんな各組にいなくてはならない存在になっているのがすごく誇らしくて、うれしいです。


サウナとアイスで、まだまだ暑い季節を乗り切ります
——おふたりが今いちばんハマっているのは何ですか?
綾さん:骨盤を緩めるストレッチやあまりキツくない腹筋などをYouTubeを観ながらやることが多いのですが、今ハマっているのはなかやまきんに君さんの『ザ・きんにくTV』で紹介されていた「下腹部&くびれ 10種目10分エクササイズ」。きんに君さんでもしんどそうにしているから、「これは効くんだ〜」と思いながら一緒にやっています。今のところ、成果ありです。
腹筋というガードがあるとあまり暴食をしなくなるんです。筋肉という天然の鎧ができるという感覚が少しずつわかってきました(笑)。衣裳をキレイに着られた方がいいので、頑張っています。
有沙さん:私は番組でも言ったようにコスメが好きで、ずっと使っているのがゲランの「キスキス ビー グロウ オイル」の309。ハチミツが配合されているからツヤツヤで、プルッとするんです。
在団中は肌がカッサカサだったことに退団して初めて気づいて、肌にも髪にも潤いを入れるようにしてやっと戻ってきた感じです。娘役をやっていた頃は、「こんな化粧をしなきゃ」とか「もっとここを絞らないと」みたいなことに囚われすぎていました。退団してから素を生かしたナチュラルなメイクの方法を知り、自分に合うスキンケアやコスメを探すのを楽しんでいます。保湿って本当に大事ですね。

——ご自身の機嫌をとれるものは何ですか?
綾さん:先ほどエクササイズにハマっていると言ったばかりなのですが、食べることです。真逆!(笑)自分が食べたいものを食べて、会いたい人と会って笑って過ごす休日が尊いです。基本的に甘いものが好きで、カフェオレをよく飲みますね。すぐ糖分が入っているものを食べちゃうので気をつけなきゃ…(笑)
有沙さん:今は自分を見つめる時間を大事にするようになったかもしれないです。ちょっと時間があるときにひとりでカフェでお茶をしながら、仕事のことじゃなくて自分自身のことを考えるようにしてます。
宝塚歌劇というフェアリーな世界から、急に現実世界に来たみたいな感覚がすごくありました。今、退団して3年が経ちますが、本当に少しずつ慣れてきた感じです。

——まだまだ暑さが残るこの季節、とっておきの涼アイテムがあれば教えてください。
綾さん:なかなか共感してもらえないのですが、正しいサウナの入り方を実践しています。まず水風呂に3分入ります。カタカタするくらい体を追い込んでからサウナに行きます。それが本来の入り方らしく強制的に涼しくなるので、私はだいたい2〜3 セットやりますね。湯船に浸かるのも好きなのですがサウナの方がちゃんと汗をかけるので、スッキリします。
有沙さん:あまりおすすめはできないのですが、寝る前に食べるアイスです。大好きなあずきと練乳が入ったかき氷のアイスを食べて体が涼しくなったら寝るという、絶対ダメなことをやってしまっています(笑)
——2026年下半期の目標を教えてください。
綾さん:とにかくたくさん動く! 受け身になることなく、自分から能動的に行動したいと思います。
有沙さん:カッコいい女性になりたいです。どうしてもかわいいものにときめいてしまうのですが、舞台も歌も、人間としても芯の通ったカッコよさを求めていきたいです。

『阿弖流為 -ATERUI-』に対する真摯な想いだけでなく、同期ならではの話も飛び出した取材会。こちらを読んだ後に「華麗なる宝塚歌劇の世界〜Season8〜」を観ていただくと、より楽しめるかもしれません。
あわせて読みたい
▶︎心を揺さぶる名作『阿弖流為 -ATERUI-』を有沙瞳さん&綾凰華さんと共に振り返る!【時代劇専門チャンネル「華麗なる宝塚歌劇の世界」】番組収録レポ
【華麗なる宝塚歌劇の世界~Season8~】
『阿弖流為 -ATERUI-』(’17年星組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ) 原作:『火怨 北の燿星アテルイ』高橋克彦(講談社文庫刊) 出演:礼真琴/有沙瞳/瀬央ゆりあ ほか ※番組ゲスト:有沙瞳、綾凰華 放送日時:9月28日(月)22:00~/10月に再放送あり
宝塚歌劇を見るなら「時代劇専門チャンネル」 視聴ガイドはこちら 時代劇専門チャンネル【華麗なる宝塚歌劇の世界~Season8~】特設サイト