知らなかった世界を直接的に映し出す、心に刺さる写真たち
芸術を愛し、支援したガブリエルシャネルの精神を受け継ぎ、若手音楽家によるコンサートや展覧会等、シャネルならではのユニークな企画を行っているシャネル・ネクサス・ホールにて、写真家 ジェーン エヴリン アトウッドの日本初となる個展「Soul ジェーン エヴリン アトウッド展」が開催されます。
ニューヨークに生まれ、学生時代にダイアン アーバスの展覧会を観て、社会の周縁にいる人たちのポートレイトとその作品が心に訴え続ける力に感銘を受けたジェーン エヴリン アトウッド。1971年からパリに拠点を移し、自身の強い好奇心から作品を生み出してきました。
1976年には、彼女の初めてのシリーズとして、パリの路上に立つ娼婦たちの姿の撮影をスタート。1980年、この娼婦たちの写真と、当時撮影を始めたばかりだった盲目の子どものシリーズが評価され、第1回ユージン スミス賞を受賞。
その後もエイズ患者の密着取材、10年間にもおよんだ女囚たちの撮影、4年間を費やした地雷犠牲者の調査など、被写体を深く理解するために、何ヶ月も、時には何年もの間をかけ、対象と時間を共にする極めて私的で情熱的なアプローチでそれぞれのプロジェクトに没頭しました。悲惨で忌まわしくさえあったであろう閉じられた世界を、彼女は非凡な感性で捉え、その直接的でありながらも繊細、冷酷さや搾取的な印象を与えない作品は、被写体に対する思いやりを示しています。
今回の個展では、アトウッドの代表的なシリーズから厳選した作品の数々や、報道カメラマンとしての仕事などを紹介しながら、彼女の被写体に対する飽くなき探究の軌跡を展示。作家の希望により、シリーズ別や年代順といった従来の展示構成は行わないものの、被写体のジェスチャーや表情、イメージの中の光と影、あるいは親密な感情と魂[Soul]で、それぞれがつながっていることを感じることができます。
自らの感情をストレートに表現するための手段として撮影を続けているアトウッド。その写真を通して、自らが直面する苦難に向き合い生き抜いていく人々の過酷な現実を知り、感じてください。
【Soul ジェーン エヴリン アトウッド展】
会期:2022年3月30日(水)~5月8日(日) 会期中無休・入場無料・予約不要
開館時間:11:00~19:00(最終入場18:30)
会場:シャネル・ネクサス・ホール(東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F)