映画『3月のライオン』では、想像以上の「孤独」を抱える桐山零を演じた神木隆之介さん。今まで感じたことのない感情を演じるにあたっての苦悩を話してくれました。さらに、原作を愛する気持ちもたっぷり伝わってくるインタビューをどうぞ。
零の孤独を演じることで、周りの人の大切さ、温かさを感じられた
――桐山零を演じることで、神木さんに与えた影響はありましたか?
「零くんの孤独は、僕は感じたことのないもの。だからこそ、想像するしかないと思ったんです。そのなかで、今回は、いかに零が孤独をかかえていて、さらにその孤独を見せずにさみしそうな表情をおしつけがましくないように表現するかということを考えました」
――すごく難しそうですね。
「そうなんです。零はおとなしい性格なので、表情もそこまで豊かではないんです。その中で、原作で見せるような寂しい表情を出すのがすごく大変でした。でも、零くんを演じることによって、自分のまわりにもきちんと傍にいてくれる人がいるんだということを実感することが出来ました。とくに、今回は二部作の主演を務めさせて頂くのが初めてだったので、とても緊張していたんです。でも、伊藤(英明)さんや、加瀬(亮)さん、佐々木(蔵之助)さんさん、豊川(悦司)さんたちみなさんが、支えてくださって、そばにいてくださるんだということを何度も感じることができたんです。みなさんが僕の隣で同じ方向を見ていることを感じることができて、すごく勇気づけられました」
――そのみなさんとの完成披露試写会でのトークはすごく楽しそうでしたよね。
「あはは。現場はすごく楽しかったですし、みなさんがすごく温かい雰囲気なのはもちろん、作品もすごく心温まるものなので、その空気を伝えたいと思いました」
――すごく伝わってきましたよ。
「よかっです(笑)。原作者の羽海野チカさんから始まり、すごく素敵な作品なので、観た皆さんがあたたかい気持ちになってもらえたら嬉しいです」
零になるために、生まれて初めて自分で髪を切りました
――今回、零を演じることで髪をご自身で切ったとお聞きしました。
「そうなんです! 零は、美容院に行くイメージはないし、床屋に行くような雰囲気もない。きっと、自分で切っているだろうと思ったので、僕自身も初めて自分で髪を切ることにしました。もちろん、ヘアメイクさんに監修していただきましたが、すごく貴重な体験でした。なので、横の髪の毛の長さが左右揃っていないんです(笑)」
――すごくそのビジュアルに零のリアリティを感じました。そのほか、零になるためにしたことはありますか?
「座り方や姿勢などは原作を見て勉強しました。あとは、メガネの位置を直す仕草には気をつけました。あまりにもメガネを触ると、すごく印象的で意味を持ってしまうことを以前学んだことがあったので、あまり多くはしていないんです。でも、面白い時や、真剣なとき、相手を責めるようなときなど、それこそ意味を持つようなときにメガネをあげる仕草をしています。あとは、原作で見た、座っているときに左手を伸ばして右手でその左手をさするような仕草がすごく印象的だったので、日常から取り入れて、演技で自然と出るように心がけました」
――すごく原作を意識されていたんですね。
「意識はしましたが、真似事にはならないように、きちんと人と人との関係を表現できるような演技をするように心がけました。全部真似をするのではなく、桐山零としてしっかりと生きて、それが一周まわった時に“原作に染まった”と感じていただけるように演じたので、原作を読んだ人も、読んでいない人も楽しめる作品になったと思います」
文/高橋あや 写真/安井宏充
映画「3月のライオン(前編)」は3月18日(土)ロードショー
監督:大友啓史
原作:羽海野チカ「3月のライオン」(白泉社刊・ヤングアニマル連載)
出演:神木隆之介、有村架純 ほか
製作:『3月のライオン』製作委員会
配給:東宝=アスミック・エース
※【前編】3月18日(土) 【後編】4月22日(土) 2部作連続・全国ロードショー!
(c) 2017 映画「3月のライオン」製作委員会 映画公式サイト
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初出:しごとなでしこ