靴を脱いだまま放置していませんか? 靴を長くきれいに履き続けるためには、「脱いだ後、どうする?」が大切。難しいテクや専門的なアイテムがなくても大丈夫。さあ今日から脱・脱ぎっぱ!
革製品修理のプロがレクチャー
<教えてくれた人>
二子玉川 美靴工房テクニカルディレクター・保科美幸さん
革製品修理のプロとして16年。元は受付だったが当時の技術スタッフの仕上げに満足できず、隠れて直したことがきっかけで技術職に。
1cmヒールこそケアが必要!
「1cmヒール靴に関しては、ハイヒールほど意識せず履く分、靴の傷みに鈍感になりやすいんです。気づかないうちに、かかとのゴムやつま先がすり減っていることや、甲部分が変形していることも。さらに、長時間立ちっ放しの日や長距離歩く日の出番が多くなりがちです。そのため、手入れがしっかりと行き届かないことが多い。ダメージが大きくならないうちにケアしましょう。日々のケアなら、汚れを落とすことが最も大事。それだけで、もちも印象も断然変わります。わざわざグッズを買いそろえなくても、実は家にあるもので十分お手入れできるんです」
レディースの靴|基本のケア
・毎日の脱いだ後
古ストッキングを用意。靴の表面の汚れを優しくなでてふき取り、甲部分にギュッと詰める。スエードの場合は、使わなくなった食器洗い用スポンジがおすすめ。ザラザラした面で表面を優しくブラッシングするようにこすって汚れを落として。
・週1ケア
水200mlに小さじ半分の洗濯用洗剤を溶かし、コットンパフを浸して固く絞り、表面の汚れと内側を丁寧にふき取る。指に少量のハンドクリームをとって靴全体に塗り込んで。古ストッキングで拭いて終了。スエードの場合は、しつこい汚れを歯ブラシで落とす。
レディースの靴|トラブル別のお手入れ
[1] 雨で靴が濡れてしまった
解決策:一刻も早く乾かすのが先決!
「濡れたまま放置するのは絶対ダメです。水滴を拭いて新聞紙の上に靴を置き、古ストッキングを靴に詰めて。リビングなど空気が循環している場所に置いて、1時間おきにストッキングを交換。ドライヤーを当てるのは革が縮んだり変色するのでNGです」
[2] ヒールのキズ&すり減り
解決策:自分ではどうにかしようとせず、プロに委ねるのが正解
「すり減ったかかとを補修するクリームの商品も出ていますが、自分でやるのは難しい。失敗した後にお店に持って来られる方もいますが、より修理が難しい状態になっていることも。余計に時間もかかってしまうので、まずは専門店に相談するのがベスト」
[3] 革が硬くて痛い
解決策:ハンドクリームを塗り込んで伸ばしましょう
「むやみに引っ張ると革を傷めるのでやめましょう。靴の当たって痛い部分にハンドクリームを塗り込んでやわらかくしてから、少しずつ揉んで伸ばしてください。表面がスエード素材でも内側が本革なら、内側に塗り込めばOKです」
[4] 履きジワがついてしまった
解決策:古ストッキングと歯ブラシで直ります
「脱いだ後の靴は汗で革が伸びた状態。そのままにしておくと履きジワが定着し、型崩れの原因に。ストッキングを詰めて、古歯ブラシを入れて突っ張りましょう。これを脱いだ後にしておくだけで靴のもちが全然違うんです」
[5] すりキズがついてしまった
解決策:応急処置ならハンドクリームでできます
少量のハンドクリームを塗り込むと傷が目立たなくなります。
二子玉川 美靴工房
ブランドの靴やバッグを中心に修理を行う。
東京都世田谷区玉川3-21-8 1F
03-5491-4103
11:00~18:00 [休]日・祝
Oggi6月号「脱いだ靴の後始末徹底レクチャー」より
撮影/大石葉子 構成/佐々木怜菜
再構成/Oggi.jp
保科美幸
二子玉川 美靴工房テクニカルディレクター。革製品修理のプロとして16年。元は受付だったが当時の技術スタッフの仕上げに満足できず、隠れて直したことがきっかけで技術職に。